相談支援専門員の日々

障害福祉サービスの計画相談をしていた爺(じじい)のブログ。現在は就労B、生活介護の支援員をしています。

相談支援専門員の石の上にも三年

現場(就Bと生活介護の多機能)の支援員だった頃、
ほとんど喋らない利用者さんがいた。
異性とは、ほぼ口をきかない。
しかし、同性の利用者さんや職員とは、たまに話す。
しかも、意外とその声がけたたましい。
新人の職員が入ると「あの人が話すのを見た事があるか」というのが、
会話のきっかけになる感じだった。
私はその現場に3年と数カ月いて、その利用者さんを毎週グループホームへ送迎していた。

関わって3年が過ぎた頃、いつものようにその方を送ると、
ホームの玄関で、私に手を振りながら
「じゃあねー、ばいばーい」と言ってくれた。
私は、お疲れ様でした、と答えた。
初めての会話だった。
その挨拶は、私が現場から異動するまで続いた。
何が会話のきっかけだったかは分からない。
明確な引き金のようなものは、なかったのかも知れない。

毎日、利用者さんと顔を合わせている現場の支援員としてでさえ、
ラポール形成に3年かかった。
モニタリングでしか利用者さんと会わない
現状の私にとって、
信頼関係を構築することは、容易ではないように思う。

相談支援専門員の傾聴

先日、独居の男性の利用者さん宅を訪問した。
この方は、長い間、幻聴と共に生きている。

幻聴が、実際には存在しない人の声であることは、
ご本人も理解している。

ただ、実際にいる人(街で見かける人など)からも、
非難や否定の言葉をかけられていると感じてしまう
ことがあるようで、なかなかにしんどそうである。

この方には、想い人がいる。
その想い人は、昔、ご本人と交流のあった人らしいのだが、
現在は、多分、連絡を取り合っていない。

しかしご本人は、その想い人のことを考えて、
自宅の模様替えをしたりしている。

その想い人と、想い人の両親と一緒に暮らす
ことを前提にして、準備をしているのだ。

自分が死んだ後、想い人が困らないように、
遺せるものは遺そうと思っているとのことだ。

ご本人は、とても優しい。

ただ、想い人は、ご本人から
そんなにも好かれていることを、多分まったく知らない。

モニタリングの度に、私はご本人から
想い人の話を聞く。

電話がある度に、想い人の話を聞く。

否定も肯定もせず、ただただ聞く。
私にはそれしかできない。

相談支援専門員の就労支援

以前、私は就労移行で支援員をしていた。

その時に問題として感じた点が2つ。

1つは主治医の意見書問題。

もう1つは保証人問題だ。

 

利用者さんには仕事について希望がある。

例えば、営業職をしたいとか、

フルタイムで働きたいとか。

支援員はその希望に沿って支援を行う。

ハローワーク主催の集団面接会では、

応募書類として主治医の意見書が必要になる。

意見書を確認して、ご本人の希望と乖離がなければ、

特に問題はない。

悩むのは、ご本人が一般就労を希望しているのに、

主治医の意見書には、福祉的就労が望ましいとか、

ご本人が営業職を希望しているのに、

意見書には、単純な事務作業が望ましいとか、

そんなふうに書いてある場合だ。

この件について、当事、私がいた事業所では、

サビ管が利用者さんを説得して、

意見書に沿った職種等に、志望変更させていた。

それも1つの方法だろう。

これについては、色々な研修などで、他の事業所の職員の意見も聞いた。

医療は、福祉とは違う視点から利用者さんを見ているだろうから…、といった意見を貰った。

 

納得できる返答に出会ったのは、

相談支援の精神障害の専門コース別研修に参加した時だ。

講師の医師に質問したところ、

そういった状況では、面倒かもしれないが、

主治医と、病院のワーカーを巻き込んで、

再度、その利用者さんの希望について、

話し合った方がいい。

それが、その利用者さんのブレイクスルーにつながるかも知れないので…とのことだった。

それをやって、意見書を書き直すとなった場合、

その費用はどうなるのかは聞かなかったが、

自分の心情的には、とても腑に落ちるアドバイスだった。

 

保証人問題については、いずれまた。

相談支援専門員の手紙

利用者さんから手紙を貰った。
先日会った時、
私に失礼な事を言ってしまったのではないかと、
気にしている内容だった。

親御さんの手紙も付いていて、
近々、受給者証の更新時期を迎えるので、
よろしくお願いします、と丁寧に書いてあった。

最初にその親御さんと会い、
話を聞いた時の事を思い出す。

三人の子供さんがいたが、
一人は亡くなり、
一人は精神の障害、
一人は引きこもりの状態であること。

当事者家族の中には、
子供が障害を持った事で、夫婦が互いを責め、
離婚してしまうケースもあるが、
自分達は、
三人の子供をまともに育てる事は出来なかったけれど
(と、その親御さんは言った)、
協力して頑張っていこうと約束していること。

そう話した親御さんは、私の親とも重なるご高齢で、
この家族(私の利用者さんは子供の一人でしかないけれど)
に対して、自分はいかほどのことができるのかと、
自分の仕事の責任の重さみたいなものを
ずっしりと感じた記憶がある。

まだ手紙の返事は書いていないけれど、
手書きで丁寧に書こうと思っている。

また、私のような者に、
あんな気遣いの手紙をくれる利用者さんは、
素晴らしくまともな方だと感じている。


※後日追記 手書きの手紙を送ったところ、
利用者さんが喜ばれ、またお手紙を頂きました。
手紙を書くのが好きなだけだから、
返事はいらないとのこと。
ホントかな〜?

相談支援専門員の地図

昨日お邪魔したお家。
新しく担当になったので、ご挨拶のための訪問。

受給者証とアセスメントシート、
さらにお母様から直接聞いた住所を、
アイフォンの地図で検索。
現地に着いてみると、表札の名前が、訪問予定先と違う。
一応、グーグルマップでも検索。
やはり同じ場所が表示され、自分はその前に立っている。

困って、訪問予定のお母様に電話。
住所を聞くが、やはり間違っていない。
もう少し探してみます、と電話を切り、
ウロウロ徘徊していると、あのー?と声をかけてくる人が。
訪問先のお母様が、探しに来てくれた。

あの家です、と連れて行かれたのは、
アイフォンの地図やグーグルマップでは、
違う住所で表示される場所。

地域に出てみると、色々と面白い事がある。

相談支援専門員のすすめ

今日は古巣の就Bの職員会議に参加した。
本当はここに戻りたい気持ちもかな~りあるのだが、もう戻れない。
トライアル雇用で新しい方が入職されている。
会議の内容は盛り沢山で課題たっぷりであったが、
それでもこの事業所はいい。雰囲気が良く、活気がある。

会議終了後、新人の方にご挨拶をした。
驚くことに、相談員志望だと言う。
そうですか、としか答えなかったけれど、
相談員としての私のおすすめは、この事業所で現場の支援員として、
利用者さんや同僚たちと、仲良く和気あいあい、
いつまでも楽しく過ごすことだった。
そうは言えなかったけれど。

相談支援専門員のテレワーク

企業には出勤者を7割削減する要請が出されたり、
すべての人に他人と接触する機会を7、8割減らすことが求められたりで、
世の中テレワークが盛んになっている様子だ。

相談支援専門員は、利用者さんと直接会って、
計画をたてたり、モニタリングをしたり、
計画の変更をしたり、更新をしたりすることが仕事だが、
現状では各行政から、とりあえずモニタリングは、
記録やメモを残したうえで、電話で行うことが許されている。

電話でモニができるので、スマホとPCを持ち歩けば、
一応家で仕事はできる。

会議は今っぽくZoomで行なった。
家の中の様子を見せたくなかったので、
背景にはバーチャル背景を使用した。

Zoomでモニターに映る自分の顔は、プレデターブルドッグのようである。
背景よりも自分の顔をバーチャルにした方が良いかもしれない。
首もシワシワだ。

相談支援には客観的なものの見方が必要だと、個人的には感じている。
自分を冷たく突き放して見られるZoomは、
客観的なものの見方を養う、良いトレーニングになるのかも知れない。

そんな事を考えつつ、PCのモニターで色々な角度から自分の顔を眺めているうち、
一日が終わってしまうので、私のテレワークはちっとも進まない。