先日、独居の男性の利用者さん宅を訪問した。
この方は、長い間、幻聴と共に生きている。
幻聴が、実際には存在しない人の声であることは、
ご本人も理解している。
ただ、実際にいる人(街で見かける人など)からも、
非難や否定の言葉をかけられていると感じてしまう
ことがあるようで、なかなかにしんどそうである。
この方には、想い人がいる。
その想い人は、昔、ご本人と交流のあった人らしいのだが、
現在は、多分、連絡を取り合っていない。
しかしご本人は、その想い人のことを考えて、
自宅の模様替えをしたりしている。
その想い人と、想い人の両親と一緒に暮らす
ことを前提にして、準備をしているのだ。
自分が死んだ後、想い人が困らないように、
遺せるものは遺そうと思っているとのことだ。
ご本人は、とても優しい。
ただ、想い人は、ご本人から
そんなにも好かれていることを、多分まったく知らない。
モニタリングの度に、私はご本人から
想い人の話を聞く。
電話がある度に、想い人の話を聞く。
否定も肯定もせず、ただただ聞く。
私にはそれしかできない。