相談支援専門員の日々

障害福祉サービスの計画相談をしていた爺(じじい)のブログ。現在は就労B、生活介護の支援員をしています。

相談支援専門員の敵

相談支援専門員になるためには、保有資格に応じた実務経験年数と、都道府県が実施する相談支援従事者の初任者研修の受講が必要になる。
初任者研修では色々な講義を受講したが、特に印象深かったのは、多職種との連携についてだった。
講師の先生(ベテランの相談支援専門員)は、自分はとにかく医療関係者と話すのが苦手で、医師と話す時は初めの頃、よく泣いていた、と語った。すごく怒られたのだという。
医師の側からすれば、①相談支援専門員が、何をするのかよく分からない(この仕事は比較的新しく、知名度が低い)、②忙しい時に連絡してくる、というのが怒る理由だったという。

さて、私の担当する利用者さんにtさんという方がいる。tさんは精神の方で、アセスによれば一時路上で生活していた事もあるらしく、乱雑な部屋に住んでいる。私は約1年前に支援につき、就労系サービスを提案、ご本人の努力の結果、安定した利用に結びついた。
tさんは一般就労を希望されている。クローズで行きたいらしいが、オープンでも構わないようだ。そうなってくると、整容面、体臭等が就労に支障をきたす。
私はグループホーム入居の提案をし、tさんも体験を経てホーム入居に前向きになって下さった。

tさんは生活保護を受給されている。私は生保の担当課に現状を報告した。課は、tさんの主治医に病状調査を行なった。そうする決まりだという。主治医は、tさんを現状の独居で生活可能と判断した。課は、主治医の同意がないと、グループホームには入れないと私に言ってきた。

そこで私は冒頭の研修の話を思い出した。これまで仕事で泣きそうになった事は多々ある。ひっそり泣いた事もある。ただ、怒られてオエオエ泣いた事はない。主治医を説得しないと、この話は前に進まない。場合によっては、私の拙い説明は主治医に論破され、私はついにオエオエ泣くことになるかもしれない。

そうなりたくない私は、まず、馴れないパワポで主治医の先生を説得するための資料を作った。百聞は一見にしかず、tさんの部屋の現状が分かる写真満載の資料だ。数時間かけて、なかなかの力作が出来上がった。
それだけでは心配な私は、援護射撃をしてくれる人を作ろうと思った。病院には、だいたい医療ソーシャルワーカー、相談員がいる。その人たちは、病院という医療職の集団の中にいる、私と同じ福祉職だ。つまり味方だ(たまにそうでない場合もあるが)。
私はtさんの病院に電話をし、相談員に事情を話した。相談員は話を聞いてくれ、疑問点をいくつか確認した上で、主治医への口利きを約束してくれた。私はお礼を述べ、主治医向けに作った資料を、相談員にも送る旨を話し、電話を切った。心強い味方が出来た、と私は思った。
約5分後、その相談員から電話がかかってきた。
そういう事ならオッケーと主治医が言っています、という内容だった。
相談員、凄過ぎ。主治医も、ものわかり良過ぎ。かくして、私がオエオエ泣く事態は避けられた。後日、tさんの通院に同行し、主治医の先生にご挨拶をし、グループホーム入居の確認をしたが、先生はとても穏やかな方だった。

結局、主治医も味方だった。敵は、自分の心の中にいるんですね。